『カナケとの戦い』        奈良県  小林 正享

せっかく掘り終えた井戸から出てくる水はカナケの水。井戸を掘り終えた喜びも半減どころか、「この水をどうしようか?」と途方にくれてしまいました。

色々と調べた結果、ポンプメーカーから家庭用除鉄機が販売されているのを発見。その仕組みは、次亜塩素酸ナトリウム(カルキ)を井戸水に添加し、カナケが結晶化したところを専用のろ過材でろ過するという仕組みでした。

しかし、この除鉄機のセットは、高価な物で、簡単に手を出せる代物ではありません。「この機械で、本当にカナケが除去できるのだろうか?」そんな疑問を解決するため、この仕組みを真似て、実験開始。

実験を繰り返し、カナケを取除き、水道水と同じ位綺麗にろ過する事が出来るようになり、「これなら家庭用除鉄機を購入しても問題ないだろう」と購入を検討していました。

その除鉄機は、鉄分が、10mg/リットル以下(マンガンが含まれる場合は5mg/リットル以下)の場合に限り使用できるとの事。早速、水質試験場へ井戸水を持ち込み、調べてもらったところ鉄分39mg/リットル、マンガン0.83mg/リットルと除鉄機の性能を大幅に上回って使用不可能という結論に。

金銭的な問題であれば解決は可能だが、水質が悪いとなれば、「打つ手がない」と、また途方にくれてしまいました。

しかし、「実験ではあんなに綺麗な水が出来たのだから、何とかできる!」と気を取り直し、実用に向けて実験を開始することにしましたが、問題は山積みです。

1.10リットルろ過するのに1時間もかかってしまう。

2.一度ののろ過で綺麗にならない場合は、23度とろ過し直す。設備の構造上1度で綺麗にする必要がある。

この解決策として、

@混合タンク(沈殿タンク)に120リットルのサイズを採用。

A井戸水にカルキを投入後約1時間の沈殿時間を設ける。

Bろ過器を1個から2個へ増設。

Cろ過材も早く通過し、なお且つ綺麗にろ過できる物という、この相反した望みをかなえてくれるろ過材を採用する。

結果、1日に最高720リットルの水を処理でき、風呂、洗濯はほぼ井戸水でまかなえるようになりましたが、それでもまだ問題はあります。

1.休日に1週間分をろ過するため、720リットル/日ろ過できても週末には水不足。

・休日はろ過作業で終わってしまう。

3・他の用途に割り当てる水がない。

この解決策として、大型ろ過設備を建設。内容は、

@混合タンクを1基から2基へ増設。これにより、沈殿時間(約1時間)にもう1基の混合タンクの水をろ過し、ろ過能力が2倍以上に。

A貯水タンク600リットルを増設。これにより、屋外貯水量は約1,000リットルへ。

Bスイッチひとつで水のくみ上げや送水が行えるように設備を整える。

今では1,000リットルの水をろ過するのに半日で完了するようになり、貯水タンクさえあれば、2,000リットル/日も可能でしょう。

最後に、我が家の井戸は、カナケというハンデがあるものの、知恵と努力によって克服することができました。何度も「井戸はあきらめよう」と挫折しそうになりましたが、続けてよかった。井戸水で沸かしたお風呂につかると、今までの苦労が洗い流され、癒され、「井戸を掘った」という実感を味わってます。

井戸掘り・ろ過の様子は、http://www.geocities.jp/nara_kobayashi/ で詳しく紹介しています。
                    

         簡易ろ過設備               大型ろ過設備                        左・原水+カルキ、中・カナケ沈澱後の上澄み水、右・ろ過後